コンビニやスーパーなどで、深蒸し茶を見かけたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
しかし、深蒸し茶にどのような特徴があるかや、煎茶との違いがわからない方も中にはいらっしゃることでしょう。
この記事では深蒸し茶の特徴や煎茶との違い、淹れ方まで詳しくご紹介します。ぜひ煎茶との違いを知ったうえで、深蒸し茶を味わってみてください。
深蒸し茶とは?
深蒸し茶とは、一般的な煎茶の2倍の時間をかけて茶葉を蒸して製茶されたお茶のことです。
長い時間かけて茶葉が蒸されることによって生まれる、苦味や渋みがおさえられたまろやかな味わいが特徴とされています。
茶葉の形状は細かく、淹れた際の色は濃い緑色をしています。細かく粉状になった茶葉で淹れる深蒸し茶は、栄養成分も豊富でさまざまな効能を得られるでしょう。
深蒸し茶と煎茶の違い
製茶の中の蒸す工程の長さが違う煎茶と深蒸し茶には、茶葉の見た目から栄養成分までさまざまな違いがみられます。
まず、一般的な煎茶は30から40秒蒸して製茶されるのに対し、深蒸し茶は60秒以上茶葉が蒸されます。中には120秒ほど茶葉を蒸して製茶されることもありますが、蒸す時間が長いほど茶葉は細かくなり苦味や渋みはおさえられるでしょう。
煎茶を淹れると色は黄色がかった緑色で、フレッシュな香りになりますが、深蒸し茶は濃い緑色で青臭さが少ないとされています。
もちろん味わいにも違いがみられ、煎茶は苦味や渋み、うまみなどのバランスがとれたものです。対して、深蒸し茶の方が苦味や渋みがおさえられておりまろやかです。
深蒸し茶と煎茶の特徴の違い
深蒸し茶 | 煎茶 | |
茶葉の形状 | 細かくて粉状のものも含まれる | 細長くてしっかりしている |
色 | 濃い緑色 | 黄色がかった緑 |
香り | 青臭さが少ない | フレッシュ |
味わい | 苦味が少なくコクがあり、まろやか | 苦みや渋みなどのバランスが良い |
栄養成分 | 水不溶性のものも含まれる | 水不溶性のものはほとんど摂れない |
煎茶の特徴
煎茶はうまみや苦味、渋みのバランスが取れた味わいがあり、緑茶の中でも日本で最もよく飲まれています。色は黄色がかった緑色で、香りがフレッシュな点も煎茶の特徴です。
カテキンやテアニンといった栄養素が含まれており、抗酸化作用や抗菌作用がある点をご存知の方も多いのではないでしょうか。
深蒸し茶の効能・栄養素
深蒸し茶を飲用すると、煎茶にはほとんど含まれないとされる水不溶性の栄養素が摂れるでしょう。
具体的にはβカロテンや食物繊維がよく知られており、これらは他の緑茶では摂れない深蒸し茶特有の成分とされています。
深蒸し茶をとおして、βカロテンや食物繊維を日常的に摂ることにより、生活習慣病を予防し体の免疫力が向上します。もちろん、カテキンやカフェインなども摂れますが、深蒸し茶には煎茶より多く含まれることも特徴です。
深蒸し茶の産地
深蒸し茶は静岡県をはじめ、緑茶を生産するさまざまな地域で生産されています。
具体的には三重県の伊勢茶や鹿児島県の知覧茶、福岡県の八女茶で深蒸し製法が使われるようです。
どの産地でも分厚く生長した茶葉が深蒸し茶に使われますが、コクのある味わいになる傾向がみられます。各産地の特徴があらわれた深蒸し茶を、味わってみてはいかがでしょうか。
深蒸し茶の発祥地|静岡県牧之原
深蒸し茶は静岡県牧之原市が発祥だといわれています。
日当たりがよく茶葉の生育が早い牧之原で作られたお茶は、苦味や渋みが出やすく青臭くなりやすいとされてきました。
一般的な煎茶より蒸す時間を長くすることによりその弱点を克服でき、独特のまろやかな味わいが出せるようになりました。
これにより牧之原のお茶も人気を集めるようになり、製法が他の産地にも広がったとされています。
深蒸し茶の淹れ方
深蒸し煎茶は茶葉と急須を上手く使えば、家庭で美味しく淹れられます。
ここでは急須を使った深蒸し茶の淹れ方について、詳しく解説していきます。ポイントをおさえて茶葉から淹れた深蒸し茶をぜひ味わってみてください。
お湯を冷ます
人数分の湯呑みを使い、一度沸かしたお湯を冷まします。湯呑みの8分目程度を目安にお湯を注いでいき、80℃を目安に冷めるのを待ちましょう。ポットで90℃のお湯を使う場合、湯呑みを手で持てるくらいの温度が目安です。
茶葉を急須に入れる
お湯を冷ましている間に、茶葉を急須に入れておきます。湯呑み5杯分であれば10gが目安ですが、湯呑みが少ない場合は一杯あたりの茶葉が少し多くても構いません。
深蒸し茶の茶葉は目詰まりを起こしやすいため、気になる方は専用の急須があればなお良いです。日常的に飲むことを考えている方は、帯網の急須を探してみてください。
冷ましたお湯を急須に注ぐ
湯呑みを使って冷ましたお湯を、茶葉が入った急須に注ぎます。30秒ほどお茶が浸出するまで待ちますが、あまりに長く時間をとると成分が濃くなりすぎてしまう点に、注意しましょう。
また、二煎目以降は一煎目よりさらに浸出時間が短くなる点も、おさえておきたいポイントです。
深蒸し茶を湯呑みに均等に淹れる
お茶がちょうどよく浸出できたら、最初に用意していた湯呑みに淹れていきます。湯呑みに代わる代わる注いでいき、味が均等になるようにするように淹れましょう。
最後の一滴まで注ぎきることが、栄養成分を十分摂れるうえ美味しく味わうためのポイントです。
まとめ
深蒸し茶は苦味や渋みが少なくまろやかで、煎茶とはまた違った魅力があふれるお茶です。
製茶する際の蒸す時間が長いことにより、煎茶では摂れない栄養成分が浸出できる点も深蒸し茶の魅力の1つです。また、深蒸し茶は水不溶性の成分が摂れる点で、免疫機能の向上などの効果が期待できるといわれています。
急須を使って深蒸し茶を淹れる際は、温度や浸出時間を気にしたいものです。ポイントをおさえて、淹れたての深蒸し茶をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
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